【嘘読書】それは善ゆえに、悪:「イェルサレムのアイヒマン」
アイヒマンを知らない人間は、まずいないだろう。
人類史上最悪の虐殺とまで呼ばれる、ナチス・ドイツのホロコーストで、
事実上の遂行指揮を行った男である。
いつもの通り、嘘をつくことから始めよう。
「彼は人類史上、最も危険なサイコパスであり、その残虐性は彼の骨の髄まで染み込んだ嗜癖であった。彼のような人間は今後、一切現れることはないだろう」
残念なことに、(そう残念なことに!)この一文は完全に嘘である。
だってこのブログは嘘を書くブログだし。
彼はサイコパスではないし、残虐な嗜癖を持ってるわけじゃないし、特別であったわけでもない。
1. ハンナ・アーレントは何を語ろうとしたか
「イェルサレムのアイヒマン」は、ハンナ・アーレントによって書かれた
アイヒマンを通して見た「ナチス・ドイツ」とその奥にある「悪」についての論説である。
アイヒマンは、ナチス・ドイツの敗北後、その他のナチス残党と同様に、
国外逃亡を図ったが、結局イェルサレムで逮捕され、そのまま裁判が行われた。
ハンナ・アーレントはその膨大の調書および、裁判記録を精査し、
「イェルサレムのアイヒマン」を書き上げた。
第二次世界対戦終結までが「理系の天才たち」が活躍した時代であったなら、
終結後は彼女たち「文系の天才たち」が活躍した時代であった。
第二次世界大戦という未曾有の大人災の後に、
その原因を歴史学や政治学、哲学、心理学、社会学の天才達がその原因について論じ、
「悪と正義」、「集団の恐ろしさ」、「人間の弱さ」について大量の名著を残している。
(が、現代を見る限りこの文書たちが有効活用されているとは言いがたい)
(以上すべてこの書籍の表紙から妄想で書いている)
2. アイヒマンは大悪人であったか?
丹念な調査を行って、アーレントは一つの矛盾に気づいた。
アイヒマンは、ロリコン写真を有していないし、エロゲーもやってない。オタクじゃないし、かといって、銃に興味もなければ、暴力描写の多いマンガや、ゲームに囲まれて育ったわけでもないじゃん?じゃん?
あれれー?何かおかしいよ、蘭ねぇちゃん?
アイヒマンはむしろ、「実に平凡だが、普通に優秀な人間」であった。
あくまでも、当時のナチス・ドイツという国家において、与えられた仕事を「粛々と丹念に、丁寧かつ迅速に実行した人間」というのがアーレントの評価である。
え、超出来る人じゃん。リクナビもびっくりの企業の求める即★戦★力!とアーレントも驚いている。
(面白法人カヤックでは落ちるかもね、と脚柱に書く所がアーレントの憎いところ)
(まあ、当然嘘ですけどね)
3. 善と悪はどう決まるのか
どれだけ、優秀な船員がその船を動かしていても、
その船の方向性が正しくなければ、間違った方向に進むだけである。
船長をさっさと首にしろ。
タイタニックを悲劇のショーとか言いながら見て、
「感動した!」「全俺が泣いた!」「よーし今日のご飯はハンバーグだ!」
とか言ってる暇があったら、そう云う所から学んで、
社会をどう変えるかを考えろ、さっさと船長を首にしろとアーレントは述べている。
私もそれに完全に同意である。
(なお、別にアーレントはそのようなことは述べていないし、筆者はタイタニックに思い入れはないし、今日の夕飯は麻婆豆腐である)
評点
- イェルサレムのアイヒマン-
(最良5点)
ハンバーグ食べたい度:5
アイヒマンを知れる度:1
読むと0年代アニメが面白くなる度:5
- 作者: ハンナ・アーレント,大久保和郎
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 1969/02/20
- メディア: 単行本
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この書評は大半が嘘であるので、
そこんとこよろしく